食欲不振(食欲低下)とは
食べたいという欲求が低下または無くなってしまう状態をいいます。
食欲不振の原因について
消化器疾患(胃、大腸、肝臓、胆のう、膵臓)の頻度が高いため、消化器科が診療にあたる場合が多くなりますが、食欲低下をきたす疾患は非常に多岐にわたるため、疾患を鑑別するためには、①随伴する症状、②どれくらい長い期間続いているか、③どの程度なのか(体重減少をきたす程度か)、④摂取困難な食事の形態(水分、固形)はあるのかなどを確認していきます。
①随伴症状
随伴する症状として、吐き気、嘔吐、腹痛、膨満感、便通異常(下痢、便秘)、血便などの腹部症状を伴っているか、腹部以外の全身症状として、発熱、頭痛、めまい、動悸、不眠、心的ストレスがあるかなどを確認していきます。
消化管疾患なのか、他領域の疾患などかの大まかな目安がつきます。
②症状の期間
食欲低下をきたしてから受診までが短期間であれば、問診での特定がある程度可能なことがあり、器質的病変の他に、暴飲暴食や飲酒後、一過性の精神ストレス、急性の感染症なども鑑別の候補にあがります。長期であれば、慢性的な胃腸の炎症、悪性腫瘍、精神的なストレス、機能性消化管障害、ホルモン異常、膠原病など、多彩な疾患の鑑別を要します。他の疾患で治療中の場合、薬剤による副作用の可能性や、他疾患に合併する消化管障害を考慮する必要もあるため、既往や内服薬は必ず医師に伝えて頂く必要があります。
③症状の程度
健常時と比較してどの程度摂取量が減少しているかを確認し、体重減少が著しい場合には速やかに検査に移行します。
④摂取困難な食事の形態
食事形態による摂食の困難性は、機能性疾患か器質病変かの診断予測に役立ちます。
中には、ストレス、アルコール摂取過多、過労や不眠、妊娠、歯科矯正中や入れ歯が合わないなど、生理的な要因・外部環境による影響のこともあります。
最も注意しなければならないのは、胃癌、大腸癌などの消化管の悪性腫瘍です。
特に食事が通過しない、嘔吐してしまうなどの症状を伴う場合には注意が必要です。
悪性腫瘍であるならば、食欲不振を伴っている時点で進行している可能性があるため、速やかな検査・診断が必要になります。
消化器疾患では他に、逆流性食道炎、胃十二指腸炎/潰瘍、機能性胃腸症、過敏性腸症候群、胆のう炎、膵炎、肝炎、肝胆膵領域の癌などが鑑別されます。
食欲不振の検査
診断のために各種検査が必要になる場合が多く、問診と触診などの身体所見を踏まえて、採血、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)、CT検査などを考慮することになります。
当院の診療
当院では緊急度が高い場合、当日または翌診療日までに内視鏡検査(胃カメラ)、腹部CTを行い、大腸カメラについても極力柔軟に対応しています。
緊急の場合には電話予約をおすすめしますが、WEB予約についても24時間対応可能です。
お困りの症状があれば、お気軽にご相談ください。