医院名:医療法人社団侑思会 自由が丘消化器・内視鏡クリニック 
住所:〒152-0035 東京都目黒区自由が丘2丁目9−6 Luz自由が丘5階 
電話番号:03-6421-2852

胃炎(急性胃炎/慢性胃炎)

胃炎について

胃炎とは、胃の粘膜に炎症が起きた状態を言います。大まかに、急性胃炎と慢性胃炎に分けられます。

急性胃炎

急性胃炎は、痛み止め(非ステロイド性解熱鎮痛薬:NSAIDs)や向精神薬などの薬剤によるもの、食べすぎや飲みすぎによるもの、アルコールや喫煙によるもの、細菌、ウィルス、真菌感染によるもの、成人のピロリ菌初感染によるもの、アレルギーによるものなどがあり、原因は様々です。炎症が高度の場合には、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)で多発性潰瘍や顕性出血を認める急性胃粘膜病変(acute gastric mucosal lesion:AGML)となります。

急性胃炎では、心窩部痛、吐き気、嘔吐、上腹部の膨満感などの症状が出現します。自他覚症状のみでは確定診断に至らないことがあるため、内視鏡(胃カメラ)を中心する画像検査が必要になります。また十二指腸炎でも同様の症状がみられます。

<急性胃粘膜障害(AGML)1>

 

<急性胃粘膜障害(AGML)2>

<急性胃炎>

<十二指腸炎>

急性胃炎では、原因薬剤などを中止することで胃粘膜の炎症は速やかに回復しますが、酸分泌抑制薬の投与が症状の非常に効果的です。NSAIDs継続が必要な場合には、胃粘膜障害の副作用が少ないCOX2選択的阻害薬への変更を検討します。

 

補足:胃アニサキス症について

急性胃炎とよく似た胃の症状に、胃アニサキス症があります。アニサキスとは魚に生息している寄生虫のことで、サバ、アジ、イワシ、イカ、サケ、ニシン、イカ、サンマ、マス、ハマチ、ブリ、カツオなど様々な魚に寄生し、感染した魚を生で食べると食中毒が発症することがあります。
アニサキスは胃、十二指腸、小腸などの壁に侵入し、多くが2-8時間後に、時に激しい腹痛や嘔気などの症状を引き起こします。強い症状が続く場合には、虫体を内視鏡的に除去するなどの治療が必要となります。虫体は1隻とは限らず、ときに10隻以上の個体が刺入しているときもあります。アニサキスに対してのアレルギーがない場合、刺入しても無症状の場合もあります。以下の例では1視野に3隻のアニサキスの刺入が確認されます。

慢性胃炎

慢性胃炎は、「萎縮性胃炎」とほぼ同義として扱われており、萎縮性胃炎の原因のほとんどはピロリ菌の持続的な感染によって起こされています。ピロリ菌は、だいたい生後1年以内に胃粘膜に感染し、その後は除菌治療がされない限り感染が続くため、胃には持続的な炎症が引き起こされます。その間、胃の粘膜が壊されたり修復したりすることが繰り返しおき、結果として胃の粘膜が徐々に薄くなっていく「萎縮」が引き起こされます。萎縮性胃炎は、ピロリ菌の他に、自己免疫性胃炎やピロリ菌以外の細菌などが原因となることもあります。また、鳥肌胃炎については別項を参照して下さい。

鳥肌胃炎について

慢性胃炎では自覚症状がないことが多い一方で、もたれ、痛み、吐き気、食欲不振などをきたす場合があります。また胃粘膜の慢性炎症を背景に、胃十二指腸潰瘍、未分化型癌、胃MALTリンパ腫が発生することがあり、進行した萎縮粘膜は、分化型胃癌、胃腺腫の発生母地になりえます。

萎縮性胃炎のその他の原因には、自己免疫が関与する自己免疫性胃炎(AIG;A型胃炎)と呼ばれる病態があります。AIGにも特有の症状はありませんが、ビタミンB12欠乏による貧血症状(大球性貧血)の他、甲状腺機能異常や四肢末端のしびれや知覚異常などの末梢神経症状を呈することがあります。また、高ガストリン血症を介してカルチノイドと呼ばれる腫瘍が発生することがあります。

<ピロリ菌による萎縮性胃炎>

 

<自己免疫性胃炎>

萎縮性胃炎

萎縮性胃炎がある方は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん、悪性リンパ腫などの疾患が発症する可能性が高いため、注意が必要です。しかも、除菌後に発生する胃癌もあることから、除菌治療後も内視鏡(胃カメラ)による定期的なサーベイランスを続けることが非常に重要です。

検査について

急性胃炎の症状は、みぞおち付近の不快感や痛み、嘔吐、食欲不振、膨満感などです。しかし、これらの症状は、胃炎だけにみられる症状ではないことから、正確な原因を調べるためには、胃内視鏡(胃カメラ)検査が必要となります。
他方、萎縮性胃炎には特徴的な症状があるわけではなく、また萎縮性胃炎があるからといって、必ずしも症状がでるわけでもありません。そのため、症状のみでは萎縮性胃炎を推定することはできませんが、なかにはピロリ菌の除菌治療で、痛みや膨満感、もたれといった症状の改善を自覚される方もいます(ピロリ関連ディスペプシア)。 

AIGの診断には、内視鏡所見に加えて、抗胃壁細胞抗体、血清ガストリン値、病理検査などを参考にします。

治療について

急性胃炎の治療は、前記した様々な原因に応じた対応が必要になりますが、一般的に用いられる治療薬は、胃酸を抑える薬(H2ブロッカー、プロトンポンプインヒビター、ボノプラザン等)であり、粘膜保護剤が補助剤として使用される場合もあります。

生活習慣の改善

生活上の注意点としては、ストレスを受け続けると、胃の働きをコントロールしている自律神経が乱れて胃酸が過剰に分泌されたり、正常な胃の蠕動運動に不調和を生じたりすることがあることから、ストレスを回避することが必要です。また、食べすぎ飲みすぎ、刺激物、アルコール、タバコ、香辛料、果汁、炭酸飲料などは、胃酸の分泌を促進し炎症を助長する原因になりえるため控える必要があります。規則正しい生活と、消化のよい食事内容で、腹八分目を心がけることが必要です。

注意事項

患者さんのなかには、何とかして痛みを止めるために、胃薬ではなく誤ってバファリンなどの鎮痛剤を飲んでしまい状態を悪化させてしまわれる方がおられますので、症状が数日で改善しない場合には、自分であれこれ判断せずに医師の診察を受けることをお勧めします。

ピロリ菌の除菌治療

萎縮性胃炎の治療自体は、ピロリ菌の除菌治療になります。これは症状を伴っているかいないかに関わらず、胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの疾患リスクを減らす目的で行われます。ただし、除菌後においても、胃がんのリスクは残りますので、定期的な内視鏡検診が必要です。 また、前記したとおり、内視鏡で萎縮性胃炎と診断されたからといって、必ずしも症状を伴うわけではありませんが、他方、除菌をしたからといって必ずしも現存していた症状が改善するわけでもありませんので、症状が残る場合には、胃痛、胃もたれなどの症状に対しての一般的な治療が行われます(胃痛、胃もたれの項目を参照して下さい)。

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