鳥肌胃炎とは
鳥肌胃炎は、胃の出口に近い幽門部から胃角部にかけて、均一な顆粒状隆起が密集して見られる胃炎のことで、それが鳥肌のようにみえることから、鳥肌胃炎と呼ばれています。
小児から若年成人のピロリ菌感染者に多く認められることが報告されています。同じピロリ菌感染でも、鳥肌所見がある方では、ない方と比べると60倍以上近く発がんしやすいという報告があるため、特に胃癌のハイリスク群として臨床的に慎重な対応が必要とされています。
また、鳥肌胃炎の原因はピロリ菌だけでなく、その他のヘリコバクター属の細菌(ヘリコバクター・ハイルマニ)によっても引き起こされることがわかっています。
鳥肌胃炎の診断
内視鏡では胃の出口に近い前庭部から胃角部の小結節隆起の像で、隆起の中心には白色の陥凹を呈し、羽をむしり取った鳥の肌のように見えます。病理学的には、局所での過剰な免疫応答により生じたリンパ濾胞の著明な増生が認められます。
<ヘリコバクター・ピロリによる鳥肌胃炎>
<ヘリコバクター・ハイルマニによる鳥肌胃炎>
鳥肌胃炎の治療
鳥肌胃炎に特有の症状はありませんが、後記しますように悪性疾患の発生リスクがあるため、除菌治療を検討する必要があります。
①ピロリ菌による鳥肌胃炎は未分化型胃癌や印環細胞癌の発生母地と報告されており、除菌が推奨されます。ピロリ菌の除菌治療をすると、鳥肌粘膜自体は数年でほぼ平坦化して萎縮様粘膜となり、病理組織学的にもリンパ濾胞は消失します。しかし、除菌後の胃癌発生の頻度や危険因子については報告がされていないものの、除菌後も発がんのリスクが残っていることが知られています(下段写真)。そのため除菌時の年齢、萎縮の程度、胃癌家族歴などを総合的に考慮して経過観察の間隔を症例毎に検討していく必要がありますが、基本的には1年に1回の内視鏡検査を行っていくように勧められています。
②ヘリコバクター・ハイルマニによる鳥肌胃炎は、HHLO(Helicobacter heilmannii-like organism)関連胃炎、あるいはNHPHG(non-Non-Helicobacter pylori-Helicobacter gastritis)とも呼称され、犬や猫の飼育歴がある方に多い人畜共通感染症です。NHPHGではH. pylori 感染胃炎よりも MALT リンパ腫との関連性が強い可能性が報告されています。NHPHGと併存するMALT リンパ腫においては、NHPHの除菌により寛解導入に至ったとする報告例がみられます。
<鳥肌胃炎除菌後に発生した未分化型癌>
当院の診療
当院では緊急度が高い場合、当日または翌診療日までに内視鏡検査(胃カメラ)、腹部CTを行い、大腸カメラについても極力柔軟に対応しています。
WEB予約についても24時間対応可能です。ご心配なことがあればお気軽にご相談ください。