腸管子宮内膜症は、主にS状結腸・直腸の腸管壁に、子宮内膜様の組織が増生する疾患です。
症状としては月経痛、排便痛、下血などを呈し、
それらの症状は初期には月経周期に一致しますが、進行すると月経とは無関係に発現します。
大腸内視鏡では、粘膜下腫瘍様の壁外性の圧排所見がみられ、粘膜面に発赤、出血、びらんを呈することもあります。
臨床的には、大腸癌や他の粘膜下腫瘍との鑑別が問題となります。
治療は薬物療法と手術療法があり、軽症例では薬物療法(ホルモン治療)が第一選択となります。
ただし治癒するわけではないため、再発する例があり、薬物療法で症状が改善しない例や、閉塞症状が高度な例、
悪性疾患を否定できない例などでは手術となる場合があります。
以下の症例は、当院で経験されたS状結腸の腸管子宮内膜症の一例です。
病変部およびその周囲には内膜症によるひきつれがみられます。