神経内分泌腫瘍(NET)は、神経内分泌細胞(ホルモンなどを分泌する機能をもった細胞)に由来する腫瘍をいいます。
通常の大腸腺腫や大腸がんは粘膜上皮から発生し、神経内分泌腫瘍とは発生のもととなる細胞の由来が異なります。
消化管の神経内分泌腫瘍は直腸に最も多く発生し、次いで胃、十二指腸、小腸の順に多く見られます。
直腸のNETは、そのほとんどが全身症状のない非機能性腫瘍であり、無症状のうちに内視鏡検査で偶然に発見されることが多いのですが、
全身に転移をきたすくらい進行すると、カルチノイド症候群とよばれる、腹痛、顔のほてり、喘息様の発作、右心不全などの症状を伴うことがあります。
内視鏡では、黄白色調の粘膜下腫瘍の形態をとりますが、進行して増大すると、形がいびつになってきたり、中央にくぼみや潰瘍をきたすようになります。
10mm以下で発見されれば内視鏡で切除し、病理検査において転移の可能性が低いと判断されれば治癒切除となりますが、
転移をきたしている可能性が高いと判断されれば、追加で外科手術が必要となります。
下記の症例は当院で経験された4mm大の直腸NET(G1)です。
内視鏡治療で治癒が得られています。