鋸歯状病変(Sessile serrated lesion;SSL)とは,病理学的に鋸歯状構造を持つ病変をいいます。
大腸ポリープは、大きく分けて腫瘍性の腺腫と、非腫瘍性の過形成性ポリープ(Hyperplastic Polyp;HP)などに大別され、後者は切除の対象外とされてきましたが、一部において鋸歯状腺管構造に腺腫性細胞異型のある病変を伴う(腫瘍と判断される)鋸歯状腺腫(serrated adenoma:SA)が存在し、がんの一部(microsatellite instability(MSI)陽性大腸癌)にも鋸歯状構造を伴う病変があります。
SSLの中で構造や色調が不均一な病変や、拡大観察で表面構造の一部に(開Ⅱ型以外の)不整構造を伴うものが、危険度の高いSSL(SSA/P with cytological dysplasia)の可能性があり、特にⅤⅠ型pit patternを示す病変は遺伝子変化ならびに組織学的に癌化をきたす可能性があるとされています。
以下の症例は、当院で経験された盲腸の40mm大のSSA/P with cytological dysplasiaの病変です。