ベーチェット病(Behçet’s disease)とは、①口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍、②外陰部潰瘍、③皮膚症状、④眼症状の4つの症状を主症状とする、慢性再発性の全身性炎症性疾患で、厚労省指定の難治性疾患です。 診断基準には前記した4つの主症状のほかに、副症状として消化器症状、神経症状、血管炎症状などの記載があります。
病因は不明ですが、内的要因(遺伝素因)に外的因子(環境因子)が加わることで、免疫機能が過剰となり炎症が引き起されると考えらえています。
腸管に潰瘍を伴う場合を「腸管型ベーチェット病」といい、腹痛、下血、血便、下痢、体重減少などの症状がみられる場合があります。部位は回盲部(小腸と大腸のつなぎ目付近)に多く、円形または類円形の深く下掘れした潰瘍(深掘れ潰瘍)を呈するのが典型的とされており、重症例では消化管出血や腸管穿孔をきたし緊急手術が必要となる例があります。
治療は重症度に応じて、5-ASA製剤、副腎皮質ステロイド、分子標的薬などが選択されます。
以下は、当院で発見された腸管ベーチェット病の一例です。盲腸は正常ですが、終末回腸に潰瘍を認めました。
症状としては、病変部位に一致した右下腹部痛の自覚がありました。