好酸球性食道炎は、食べ物などが抗原となって食道上皮に好酸球(白血球の一種)が浸潤し引き起こされる慢性のアレルギー疾患と考えられています。
40歳前後の男性に多く、5000件の内視鏡検査に1例がみられる程度とされてきましたが、最近ではその有病率が増加しています。嚥下障害、食物のつかえ、胸痛、胸やけなどが主な症状です。
内視鏡では、輪状溝、白斑、縦走溝が特徴的であり、長期に炎症が持続する例では粘膜下層に線維化をきたし食道が狭窄する(狭くなって通過障害がおこる)例もあります。診断の確定には、内視鏡検査の際に行われる食道病変部位からの病理組織所見が参考になります。
血液検査では、好酸球やIgEの増加がみられることがあります。
治療には、制酸薬(PPI)を用いますが、効果が不十分である場合には追加でステロイドの局所療法を行います。
最近の研究では、好酸球性消化管疾患患者のピロリ菌感染陽性率が低いことが示されており、日本では非感染者が増加していることから、好酸球性消化管疾患の患者数は増加していくことが予想されています。
写真は、当院で好酸球性食道炎と診断された方の内視鏡写真です。上が通常観察、下がNBI観察のものです。