ピロリ菌と、NSAIDs(ステロイド構造以外の解熱・鎮痛薬)は、消化性潰瘍の2大成因です。
よく知られたNSAIDsには、アスピリン、ロキソニン、ボルタレンなどがありますが、様々な診療科で使用され、一部市販もされています。
ピロリ菌の感染がなく、かつNSAIDsの服用のない方の潰瘍リスクを1(オッズ比)とすると、ピロリ菌感染者は18、NSAIDsの内服されている方は19、両方の方は61になります。
また、NSAIDsを1週間から6か月程度内服した方の内視鏡所見では、胃潰瘍が15%、十二指腸潰瘍が5%に認められたとの報告もあります。
痛み止めを連用している方の、心窩部(みぞおち)付近の痛みでは、NSAIDsによる胃腸障害を考慮する必要があります。
NSAIDs潰瘍は、胃幽門前庭部(胃の出口付近)に好発し、多発する傾向があるとされています。
写真は、ピロリ陽性でロキソニンの連用された方に生じた潰瘍です。
胃幽門前庭部に多発する潰瘍・びらんが認められます。