好酸球性胃腸炎(EGE)は胃、小腸、大腸などに好酸球による炎症がおきる病態をいいます。
何らかの原因で好酸球というアレルギーに関与する白血球が消化管に多く集まって消化管粘膜を刺激し、腹痛、嘔吐、下痢などを引き起こします。特に食後に強い心窩部痛がでやすく、痛みは制酸薬でも改善に乏しい場合があります。
腹部CTで病変部に顕著な浮腫性変化を認めることがありますが、漿膜面(粘膜の反対側)での変化が強く粘膜面における変化が乏しい場合には、内視鏡で異常所見を認めないことがあり診断が難しいケースがあります。
また、好酸球性胃腸炎とよく似た概念で、食道に所見がでる好酸球性食道炎(EOE)がありますが、病態や治療がやや異なり、つかえ感や胸やけなどの症状を呈します。
以下は当院で経験されたEGEの一例です。腹部症状があり、胃全体にびらんと一部に不整形の褪色粘膜が散見され、顕微鏡所見における強い好酸球数の増加と、末梢血中の好酸球増加から、診断基準よりEGEと診断しています。
EGEの胃における内視鏡所見は非特異的であるとされていますが、文献的には斑状/マスクメロン様の褪色所見を呈する場合があると報告されています。