食道と胃のつなぎ目の部分(日本では食道胃接合部の上下2cmの範囲をいうことが多い)を食道胃接合部といい、同部に発生するがんを食道胃接合部がんとよびます。
欧米では比較的多いがんとされてきましたが、日本でも近年増加傾向といわれています。
原因として逆流性食道炎を背景とした遺伝子異常の蓄積が想定されています。
これは、ピロリ菌感染者の減少による胃液の酸度の上昇や、食事の欧米化に伴って肥満気味の方が増えて胃液が逆流しやすい状況の方が増えていることなどから、
食道胃接合部が傷つきやすくなっている方が増えているということで、今後も罹患者数は増加すると予想されています。
腫瘍は食道と胃の両方にまたがって存在しているため、治療方針に関して食道がんと胃がん、どちらの治療ガイドラインに準じるべきかは結論がでておらず、今後の課題となっています。
内視鏡的に、非常に見逃されやすいがんとされており、見逃してしまうと、1年後には早期がんから進行がんになってしまうような非常に早い経過をたどることが多いともされています。
以下は当院初診で診断された接合部がんです。検査時、自覚症状はありませんでした。
文責 監修 院長 岡田和久