本邦において、特発性潰瘍(IPU) の罹患率が増加している可能性が示唆されています(1、2)。
IPUの危険因子ははっきりしていませんが、潰瘍の発生部位はH. pylori 陽性潰瘍と比較して、前庭部から十二指腸球部に多く認められ、
単純な H. pylori 陽性潰瘍と比較して難治性で再発率が高いことが報告されており、
特に 萎縮性胃炎がなく除菌歴のない患者では、治癒率がより低く、再発が多く認められるとの報告もあります(3)。
難治性であっても最終的に瘢痕化が得られる症例がほとんどですが、日常診療においてもPPIの減量や中止で再発することが多く経験され、
報告においてもIPUと出血性 H. pylori 潰瘍では、IPU 群において累積再発率、出血率、総死亡率が高いと報告されており、
酸分泌抑制薬投与による再発防止と厳重な経過観察が必要とされています。
参考文献
消化器内視鏡Vol.34 増刊号2024 P188-189
日消誌 2023;120:816―826
(1)J Gastroenterol Hepatol. 2015 May;30(5):842-8. doi: 10.1111/jgh.12876.PMID: 25532720
(2)J Gastroenterol. 2019 Nov;54(11):963-971.
(3)Dig Endosc. 2016 Jul;28(5):556-63. doi: 10.1111/den.12635. Epub 2016 Apr 3
文責 院長 岡田和久