前記しましたように、スキルス胃がんの多くは、未分化型早期胃がんからの進展ですが、発見するのが難しいのが現状です。特に、背景粘膜の炎症や萎縮程度が強い場合、早期病変の視認はさらに困難となります。
写真の例は、院長が発見した未分化型早期胃がんで、学会総会と英論文で発表/提示した症例です。
この症例は、大きさ8mm程度で、深達度が浅く、結果的に内視鏡治療のみで治癒切除が得られました。病変は、背景の炎症が強く、通常観察からは視認することが非常に難しい病変です。実際、内視鏡学会総会での発表時には、この病変のNBI拡大像(緑・茶色のアップの写真)に関する発表を行いましたが、
フロアの多くの先生方から、この病変はそもそも通常観察で存在を指摘することすらできないと意見されました。
このような胃がんは、比較的まれな胃炎様の未分化型胃がんですが、1年で数百という胃がんを取り扱っている、がん専門病院の専門医でないと、発見するのが非常に難しい病変です。