食中毒症で有名なものにアニサキス症があります。
アニサキスとは、魚や鯨の体内に生息している寄生虫をいいます。その幼虫はオキアミを経てサバ、アジ、イワシ、イカ、サバ、サケ、ニシン、スルメイカ、サンマ、ホッケ、タラ、マス、ハマチ、ブリ、カツオなど様々な魚に寄生し感染幼虫になります。そして人がアニサキスに感染した魚を生で食べることで、食中毒(アニサキス症)が発症します。
アニサキスが摂取されると、胃、十二指腸、小腸などの壁に侵入し、多くが2-8時間後に、時に激しい間欠的な腹痛や嘔気などの症状を引き起こします。これらの症状は、胃潰瘍などの他の胃腸疾患の症状と似ているため、患者さんからの食事歴の申告や、医師の問診が診断に重要となります。アニサキスは、人の体内では長く生きられないため、多くは1週間以内には死ぬとされています。そのため、腹痛などの症状がでても自然によくはなりますが、強い症状が持続的に続く場合には、虫体を内視鏡的に除去するなどの治療介入が必要となります。内服薬としては、制酸薬に加え抗炎症作用、抗アレルギーのある薬剤(ステロイドなど)の投与が、症状緩和に期待できます。
ところで、アニサキスは魚の内臓に寄生し、魚が死ぬとはじめて筋肉内へと移動していきます。そのため、心得ている釣り人の方ならば、魚を釣り上げて1時間以内に魚を捌き内臓を取り除く処置をしており、そうすることで刺身を食べたときに感染することを防ぐことができます。
自分でできる予防策としては、感染源である寄生している魚を知り食べる前によく観察すること、熱処理(60℃の熱で1分以上過熱)、よく噛んで食べることなどが言われています。
2019.08.30