悪性リンパ腫は、血液細胞である白血球(リンパ球)ががん化した疾患です。
全身のどの場所にも発生しうる疾患ですが、消化管に発生するものは全体の5~10%弱とされています。
胃の悪性リンパ腫に関しては、MALT(mucosa – associated lymphoid tissue)リンパ腫、ついでびまん性大細胞型リンパ腫(DLBCL)という組織型が多く、2つで全体の90%以上を占めます。
胃MALTリンパ腫の内視鏡所見は多彩であり、早期胃がんに類似した形態的に認識されやすい形状のものから、「表層型」といわれる胃炎と区別しがたい所見を呈する例もあり、同時に複数の病変が存在する場合もあります。そのため表層型では、エキスパートでも一見して胃リンパ腫であると診断することが非常に難しいケースがあります。
胃DLBCLは、胃の進行がんに類似した形態をとることが多く、粘膜下腫瘍様の立ち上がりを示し、辺縁には不整な所見がない「耳介様周堤」が特徴的です。
悪性リンパ腫の確定診断には、内視鏡での生検(または外科切除標本における病理組織診断)が必要となります。
2019.09.11