胃悪性リンパ腫の症状に、特有のものはありませんが、潰瘍の形成を伴う場合には、胃潰瘍と同じ症状(上腹部痛や貧血)をきたす場合があります。
内視鏡の所見として、潰瘍形成を伴わない「表層型」の悪性リンパ腫については、胃炎との鑑別が難しいため内視鏡による診断が難しいとされています。
胃MALTリンパ腫において、病変が胃に限局していてピロリ菌の感染が確認される場合には、ピロリ菌の除菌が第一選択の治療法となり、これで約80%の方は腫瘍が寛解し、一旦寛解が得られると10年後の生存率は95%近くになります。しかし他方で、除菌が無効な例が20%近くみられ、除菌治療による増悪例も報告されています。
除菌治療が無効な場合や、ピロリ菌陰性例には化学療法や放射線治療が選択されます。
胃DLBCLは進行期であっても治癒が望める悪性腫瘍で、化学療法が主体となり、抗 CD20 モノクローナル抗体(リツキシマブ)併用 CHOP(シクロホスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,プレドニゾロン)療法(R-CHOP 療法)(ただし限局期では治療回数を減らし放射線療法を追加)が基本的な標準治療となっています。
写真の例は、発見の難しい表層型の胃MALTリンパ腫(自験例)です。