早期胃癌⑬(胃内視鏡/胃カメラ)
ピロリ菌除菌後の早期胃癌は平坦・陥凹型が多いという特徴があり、通常観察では視認が難しい場合があるため、早期で発見するためには、定期的な内視鏡検査が必要になります。
以下は当院で発見された除菌後胃癌です。
鳥肌胃炎③早期胃がん⑫(胃内視鏡/胃カメラ)
写真の症例は、鳥肌胃炎で除菌してから数年後に発生した胃の未分化型早期胃がんです。
癌発見時には鳥肌粘膜はやや平定化していました。
このような癌は比較的若い層の20代-40代にもみられ、除菌後も定期的な経過観察が必要です。
HNPHG①(胃内視鏡/胃カメラ)
胃に感染する細菌はピロリ菌が有名ですが、ピロリ菌以外にヘリコバクター・ハイルマニなど胃に感染する細菌があり、それらによる胃炎はHHLO(Helicobacter heilmannii-like organism)関連胃炎、あるいはNHPHG(non-Non-Helicobacter pylori-Helicobacter gastritis)と呼ばれています。ヘリコバクター・ハイルマニは人畜共通感染症で、感染者は犬や猫の飼育歴がある方に多いとされています。内視鏡的には、鳥肌胃炎または胃の前庭部から胃角部にかけての腺境界領域にまだらな模様、霜降り所見を認めることが多いとされ、当院の経験例でも両所見のいずれかが発見のきっかけとなっています。
NHPHGの問題点は、H. pylori 感染胃炎よりも MALT リンパ腫との関連性が強い可能性が報告されていることですが、NHPHGと併存するMALT リンパ腫においては、NHPHの除菌により寛解導入に至ったとする報告例がみられます。
以下は当院で経験されたHNPHGの一例です。犬の飼育歴がありました。
胃悪性リンパ腫③(胃内視鏡/胃カメラ)
MALTについては以下もご参照ください。
以下も当院で経験された胃MALTリンパ腫の一例です。胃MALTリンパ腫では、ピロリ菌感染の有無によらず除菌治療が検討され、無効例には放射線治療などが行われます。
好酸球性胃腸炎①(胃内視鏡/胃カメラ)
好酸球性胃腸炎(EGE)は胃、小腸、大腸などに好酸球による炎症がおきる病態をいいます。
何らかの原因で好酸球というアレルギーに関与する白血球が消化管に多く集まって消化管粘膜を刺激し、腹痛、嘔吐、下痢などを引き起こします。特に食後に強い心窩部痛がでやすく、痛みは制酸薬でも改善に乏しい場合があります。
腹部CTで病変部に顕著な浮腫性変化を認めることがありますが、漿膜面(粘膜の反対側)での変化が強く粘膜面における変化が乏しい場合には、内視鏡で異常所見を認めないことがあり診断が難しいケースがあります。
また、好酸球性胃腸炎とよく似た概念で、食道に所見がでる好酸球性食道炎(EOE)がありますが、病態や治療がやや異なり、つかえ感や胸やけなどの症状を呈します。
以下は当院で経験されたEGEの一例です。腹部症状があり、胃全体にびらんと一部に不整形の褪色粘膜が散見され、顕微鏡所見における強い好酸球数の増加と、末梢血中の好酸球増加から、診断基準よりEGEと診断しています。
EGEの胃における内視鏡所見は非特異的であるとされていますが、文献的には斑状/マスクメロン様の褪色所見を呈する場合があると報告されています。
ラズベリー型胃癌⑥(胃内視鏡/胃カメラ)
以下も当院で経験された、2mmの胃の腺窩上皮型腫瘍で、癌相当(group5)となった病変です。
この症例では直前のバリウム検査では異常なしとされていました。
一般にピロリが陰性の方にできるポリープのほとんどは良性で、癌化のリスクが乏しく処置不要で経過観察となりますが、このようなタイプの胃癌は、内視鏡検査によって色調変化や特有の形態・外観から診断することが必要となるため、バリウムでは質的診断が難しいと思われます。
なおラズベリー型胃癌の悪性度については議論があり、一般的には低悪性度であると考えられています。
十二指腸乳頭腺腫②(胃内視鏡/胃カメラ)
十二指腸腫瘍のうち、胆汁や膵液が分泌される乳頭部分に腫瘍が発生する頻度は比較的少ないのですが、その乳頭部に発生する腫瘍のほとんどは、癌またはその前段階の腺腫で、早期の段階ではほとんどが無症状です。
膵・胆道癌の中では乳頭部癌の予後はもっとも良好であるとされていますが、進行癌になってしまうと手術をしても5年生存率は50%程度で深刻です。一方で早期癌の5生年存率は95%以上と良好ですが、腫瘍が粘膜面に露出していない非露出型というタイプについては発見が難しく診断が遅れることもあります。
以下は当院で経験された十二指腸乳頭腺腫の一例です。
早期胃癌⑩(胃内視鏡/胃カメラ)
ピロリ菌の除菌後は、胃がんが発生しないと誤解されている方がおられますが、その後の累積発がん率は除菌しなかった場合と比べて統計的に1/3程度に抑えられはしてもゼロになることはありません。そのため定期的な経過観察が必要となります。
また除菌後胃癌は一般的に平坦・陥凹型が多く、色調変化に乏しいため視認が難しいとされています。
以下の病変は当院で経験された3-4mm大の除菌後胃癌です。除菌後の定期検査で発見されました。
このような病変は通常観察では認識が難しく、色素散布や画像強調などの操作により視認しやすくなります。
ラズベリー型胃癌⑤(胃内視鏡/胃カメラ)
以下も当院で経験された、胃の腺窩上皮型腫瘍で、癌相当(group5)となった病変です。
このような病変では内視鏡的に癌と診断しても、消化器専門の病理医の先生でなければ、癌と診断されない例もあります。
停滞性食道炎・食道潰瘍➁(胃内視鏡/胃カメラ)
以下はビブラマイシン(抗菌薬)による食道潰瘍の一例です。
内服の際に十分な水で嚥下しなかったために、生理的狭窄部付近でカプセルが停滞して酸性内容物が溶出し、潰瘍が形成されました。