神経内分泌腫瘍(NET/NEC)④(大腸内視鏡/大腸カメラ)
直腸NEN(NET)については、以下のURLなども参考にされてください。
直腸NENでのリンパ節転移の危険因子は、①腫瘍径10mm以上、②腫瘍表面性状(陥凹,潰瘍形成)、③病理検査での脈管侵襲陽性であり、リンパ節転移のない症例の予後は良好ですが、リンパ節転移・遠隔転移を有する場合には、同等の転移を呈する大腸癌症例とほぼ同じとの報告があります。そのため、腫瘍径10mm以上の直腸カルチノイドの症例は、リンパ節郭清を伴った腸管切除が必要となります。
以下の症例は、当院で経験されたφ15mm大の直腸NEN(G‐1)です。
一般的に手術が考慮される症例ですが、このような例でも自覚症状はなく、偶然に発見されることがほとんどです。
肛門周囲膿瘍②(大腸内視鏡/大腸カメラ)
肛門周囲膿瘍につきましては、以下もご参考ください。
以下の例も、無症状で発見された肛門周囲膿瘍の例です。1年前にはなかった膿瘍がたまたま発見されました。
膿瘍頂部からの排膿が視認されます。
<1年前>
<発見時>
胃静脈瘤➀(胃内視鏡/胃カメラ)
胃静脈瘤は、胃の壁内にある静脈が異常に拡張した状態をいいます。
胃静脈瘤は肝硬変による門脈圧亢進症などにより、食道静脈瘤と合併して発生することが多いのですが、膵炎や膵がんなどによる脾静脈の狭窄や閉塞によっても発生することがあります。病態が進むと静脈瘤から出血する可能性があるため、原疾患の治療とともに経過観察や治療が必要となります。
以下は膵疾患により生じた胃静脈瘤の1例です。食道静脈瘤の合併は認めませんでした。
腸管子宮内膜症③(大腸内視鏡/大腸カメラ)
腸管子宮内膜症では必ずしも症状がでるとは限らず、偶然に発見される方がいます。
以下の例においても、腹部症状や子宮内膜症の既往はなく、偶然発見された例です。
腸管子宮内膜症②(大腸内視鏡/大腸カメラ)
腸管子宮内膜症については、以下もご参照ください。
以下の症例も当院で経験された腸管子宮内膜症の一例です。
症状はありませんでしたが、粘膜下腫瘍様の隆起があり内腔がやや狭窄していました。
アメーバ性腸炎①(大腸内視鏡/大腸カメラ)
アメーバ性腸炎は、原虫(寄生虫)であるEntamoeba histolyticaによる感染症です。
糞口感染をしますが、性行為感染症の一つでもあります。
多くの方において、病態は慢性的に経過し、下痢、粘血便、腹痛などが繰り返しあらわれますが、免疫力の低下した方などにおいては、劇症型の病態となり致死的となることもあります。
また一部の方では肝臓に膿瘍を形成することもありますが、必ずしも双方が合併するわけではありません。
統計的に直腸と盲腸が好発部位で、周囲に紅暈を伴ったり、白苔を伴う汚く多発する(たこいぼ)びらん・潰瘍が本症に比較的特徴的な内視鏡所見です。
治療は抗菌薬であるメトロニダゾールの内服治療が基本となります。
以下は当院で経験されたアメーバ性腸炎です。病変は盲腸のみに認められ、生検でアメーバ自体が確認されました。
FAP②(胃内視鏡/胃カメラ)
FAPでは、大腸のみならず、胃や十二指腸にも腫瘍が発生します。
FAP方の約50%は胃ポリープが多発するとされ(胃底腺ポリポーシス)、胃腺腫や胃癌が発生することがあります。
また十二指腸(乳頭部含む)にも高率に腫瘍の合併を認め、これらは死因となる場合もあります。
写真は、当院で経験されたFAPの症例で、十二指腸の乳頭部腫瘍と非乳頭部腺腫の合併を認めました。
監修 院長 岡田 和久
FAP①(大腸内視鏡/大腸カメラ)
家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis; FAP)は、大腸の多発性腺腫を主徴とする常染色体優性遺伝疾患です。
大腸のポリポーシスとは、大腸全体に100 個以上のポリープを認められる状態をいいますが、FAPは大腸腺腫の個数・密度により、腺腫が正常粘膜を覆うほど発生する密生型(1000個以上)、腺腫が100~1000個の非密生型、腺腫が100個未満のattenuated FAP(AFAP)に亜分類されます。
病名には「家族性」とありますが、FAP の方の約 3 割は 明確な家族歴を認めません。
腺腫の数が100 個以下の場合、AFAP と MUTYH関連ポリポーシス(MUTYH-associated polyposis;MAP)の鑑別が必要となりますが、MAPは常染色体劣勢遺伝の形式をとります。
FAPでは癌化のリスクが極めて高いため、治療は予防的な大腸全摘・回腸嚢肛門(管)吻合術が検討されますが、一部施設では内視鏡による徹底的ポリープ切除の試みがなされているところもあります。
以下は当院で経験されたFAPの一例です。大腸全体に100個以上のポリープが認められました。
早期胃癌⑧(胃内視鏡/胃カメラ)
胃癌については、以下のURLや、医療情報内にあるトピックも併せてご参照ください。
統計上、胃癌が発見された方のうち、15%くらいの方は胃内に同時に2つ以上の癌が発見されます。
またごく最近のデータでは、初発時に1つしか胃癌が発見されなかった場合においても、胃内の他の部位に新たに胃癌が発生(異時多発)する確率は、たとえピロリ菌を除菌したとしても10年以内に30%程度あると推定されています。
そのため、胃癌もしくは胃腺腫が発見された方は、同時あるいは異時多発の胃癌が発生していないか、入念に経過観察する必要があります。
以下は、胃の体下部と幽門前庭部に同時に2病変発見された症例です。2病変とも内視鏡治療で治癒しています。
① 1病変目:体下部前壁の病変
② 2病変目:幽門前庭部前壁の病変
クローン病②(大腸内視鏡/大腸カメラ)
クローン病の診断基準には、副所見として「特徴的な胃・十二指腸病変(竹の節状サイン)」が記載されています。
これは、「主に胃噴門部から胃体部の小弯にかけてみられる、襞を横切る亀裂状の陥凹」をいいます。
クローン病では 45~65% くらいの方に竹の節状外観が認められるとされていますが、クローン病以外の疾患や、正常な方でも見られることがあり、必ずしも感度が高いというわけではありません。
以下は、クローン病の方に確認された竹の節状外観です。